卵巣ガンは「サイレントキラー」と呼ばれます。
自覚症状がないまま、ガンが進行していきます。
症状が出て、病院に行った時には、
卵巣ガンのステージが高くなっていることが少なくありません。
卵巣ガンが進行している場合、手術するだけでなく、
抗ガン剤を使用することがあります。
抗ガン剤の治療効果や副作用も気にかかりますが、
費用はどれくらいかかるのか?
健康保険が適用されるのか?
心配になりますね。
卵巣ガンの治療方法は?
卵巣は親指ほどの大きさの臓器で、左右一対になっています。
靭帯(じんたい)で、子宮と後骨盤に固定されています。
卵巣には、良性・境界悪性(良性と悪性の中間)・悪性と、
さまざまな腫瘍が発生します。
卵巣腫瘍の85%は良性で、手術して摘出すれば完治します。
悪性の卵巣腫瘍を卵巣ガンと呼びます。
成長が速く、リンパ節や他の臓器に転移します。
卵巣ガンの治療は、手術が主体となります。
手術方法はガンの進行程度、つまりステージによりちがってきます。
手術しながら、摘出した組織を検査し、進行程度を確かめます。
ステージの確実な診断は、手術後に下されます。
ステージⅠの卵巣ガンは、片方または両方の卵巣にとどまっています。
ステージⅠでは、ガンの発生している卵巣を摘出します。
場合によっては、両方の卵巣・卵管・子宮を摘出します。
また、大小腸をおおう大網という脂肪組織を摘出します。
大網は、卵巣ガンが転移しやすいのです。
ステージⅡになると、ガンは卵巣から骨盤に広がります。
ステージⅡでは、両方の卵巣・卵管・子宮に加えて、
転移している骨盤腹膜、大網を摘出します。
直腸にガンが浸潤している場合は、直腸も切除します。
手術した検査の結果、ステージⅠ・Ⅱと確定すれば、
手術後、予防や治癒率を高めるために、化学療法を行うことがあります。
化学療法とは、さまざまな抗ガン剤を使用する治療のことです。
ステージⅢになると、ガンは腹膜から腹部リンパ節に広がっています。
ステージⅣになると、ガンは腹部から遠い臓器にまで広がります。
肝臓や腎臓、脊椎などの骨、時には脳にまで広がることがあります。
ステージⅢ・Ⅳになると、手術でガンを全部とることはできません。
体力が許せば、出来るだけ広範囲のガンを摘出します。
骨盤内の臓器を全摘出することもあります。
人工肛門や人工尿路を造る必要もあります。
しかし、卵巣ガンは腹膜にパラッと豆をまいたように広がるので、
全部とりきるのは、とても難しくなります。
そこで、手術後に化学療法(抗ガン剤治療)を行います。
以前は放射線療法をよく行いましたが、
現在は、化学療法が主力とされています。
卵巣ガンと確定すれば、手術する前に化学療法を行い、
ガンを小さくしてから摘出することもあります。
抗ガン剤治療とは?
現在、さまざまな抗ガン剤が開発されています。
抗ガン剤を使用する治療を、化学療法といいます。
手術でとりきれない卵巣ガンには抗ガン剤を使います。
卵巣ガンは、比較的、抗ガン剤がよく効きます。
抗ガン剤は内服薬か、静脈注射で投与されます。
時には、腹腔内に直接注入することもあります。
いずれにしても、抗ガン剤は血液で全身に運ばれ、
ガン細胞を消滅させるために働きます。
抗ガン剤はガン細胞を消滅させますが、
正常な細胞にも大きなダメージを与えることがあります。
いわゆる副作用ですね。
しかし、抗ガン剤をくり返し使えば、
ガン細胞を完全に消すこともできます。
多少の副作用があっても、体力が許せば、
効果がある限り、抗ガン剤を使用してガンをたたきます。
抗ガン剤治療は、
ガンの状態や患者の年齢、ガン以外の持病により、異なります。
病状に最も効き目があると認められる抗ガン剤治療が、標準治療です。
ふつうは三週間を1コースとして治療が行われます。
しかし、ガンの進行状態や性質によっては、
標準治療では効果が十分でないこともあります。
その時は、患者さんの同意を得て、新薬を使うこともあります。
抗ガン剤の副作用としては、
血液中の白血球や血小板が減少したり、貧血が起きたりします。
吐き気や嘔吐があり、食欲が落ちます。
手足がしびれることもあります。
女性としてつらいのは、髪が脱けることですね。
副作用が起きても、それに対処することができます。
吐き気や嘔吐をおさえる薬もあります。
主治医に遠慮なく相談して下さいね。
抗がん剤治療の費用は、いくらかかる?
「抗ガン剤治療は、費用が高くつく」と思われがちですね。
でも、「高額療養費制度」があるので、
毎月かかる費用は、それほど高くなりません。
「高額療養費制度」とは、高額な医療を受けた場合、
毎月支払う医療費の上限が決められている制度です。
上限額は所得金額により異なります。
各健康保険組合や国民健康保険に加入していれば、
誰にでも適用されます。
ふつう抗ガン剤治療は、3週間1コースとして約12万円かかります。
ステージⅠやⅡの場合は、再発予防などのために行うので、
基本的には6コース、72万円ほどになります。
でも、高額療養費制度があるので、
平均的な所得であれば、月10万円を超えることはありません。
また、確定申告をして医療費控除を受けることもできます。
抗ガン剤治療は医療費控除の対象になりますから、
税金の還付金として戻ってきます。
ただし、高額療養費制度も医療費控除も、後から戻ってくるものです。
医療費が戻ってくるまでの資金が必要ならば、
高額医療費支給見込み金額の8割まで、無利子で貸してくれる
「高額医療費貸付制度」があります。
まとめ:抗ガン剤治療は国の制度を活用して
卵巣ガンは沈黙のうちに進行します。
しかし、今は、効果的な抗ガン剤がいろいろあります。
新薬の開発も日進月歩、たゆみなく行われています。
健康保険と高額療養費制度、医療費控除など国の制度を活用し、
ガンが完全に消滅するまで、抗ガン剤治療を受けて下さいね。
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